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【Present for……】

 

-利用規約-

非営利である限り、自由に使ってください

営利の場合は要相談

 

様々な映像データの組み合わせのようなもの

 

約20分の作品
 

比率 男4:女1:不問1 

 

登場人物&配役表

レポーター(レポ)♀:
現地人(現地)♂:
ジョシュア(ジョシュ)♂:
ジョン♂:
ポール♂:
ソック信者(信者)不問:
ジェシー(ジェシ)♀(兼役):

 

大きなスペース部分にノイズ音を入れるといいかもしれませぬ

 

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レポ「皆様、ご覧になられますでしょうか!

   ここ、オーストラリアのエアーズロック上空に突如として現れた謎の物体!

   一見、白と赤のストライプが入った巨大な靴下のようですが、一体何なのでしょうか!」


現地「ああ、あの靴下か。 確か、一週間前、11月の25日頃に急にあそこに現れたんだよ。

   最初は何かの宣伝だ、政府の陰謀だ、世界の終わりだ、とか騒いでいた奴もいたけど

   今となっては落ち着いたもんだな。 今じゃ立派な観光名所で、ここのやつらにゃ『ソック』なんて

   呼ばれてる。 もう片方はどこだ、なんて冗談付きでな。

   まあ、あのソックのお蔭でここの商人どもは随分と助けられてる。 ソック様様ってやつだな」


レポ「……もしもし。 ええ、ええ……元気よ。 そっちはどう? ああ、ならよかったわ。

   ……ああ、あの放送を見たのね。 退屈な映像だったでしょ? 

   最初はもっと派手なものが撮れると思っていたのだけどね……。

   退屈なインタビューと浮いてる靴下を撮ってるだけのつまらない仕事だわ。 安全な方が……?

   あなたは何も分かってないッ! 少しくらいのリスクが無ければ、面白い映像は撮れないのッ!

   面白いものが撮れなきゃ、私は……私は……ッ!

   ああ、いや……ごめんなさい。 ……またかけるわ。 ……バイ……」


ジョシュ「……あー、あー……。(咳払い)

     2016年11月30日、謎の物体に関する個人ログ、ジョシュア・ウィリアムズ、録音開始。

     オーストラリア、エアーズロック上空に現れた謎の物体を国からの依頼で調査し始めてから

     三日が経った。 結果はというと……さっぱりだ。 肉眼や衛星写真、その他の映像機器では

     ちゃんとその存在を確認できる。 外気温より少し高い程度だが熱源反応があることも確認できた。

     しかし、どうやっても接触できない。 いくつかドローンを送り込んではみたが

     どれもまともな記録を残すことに成功していない。 明後日、軍のヘリがアレに接触する。

     もちろん、この私もそのヘリに乗るつもりだ。 明日の調査がアレの解明に少しでも役に立つことを

     祈る。 ……録音終了」


レポ「皆様、見てください! オーストラリア軍のヘリが謎の物体へと接近していきます!

   ……ああ、見てください! ヘリが物体をすり抜けました! これは一体どういうことなのでしょうか!」


ジョシュ「2016年12月2日、謎の物体に関する個人ログ、ジョシュア・ウィリアムズ、録音開始!

     今私は軍のヘリの中にいる! 物体への接近調査、および、接触のためだ!

     物体までの距離はおよそ50m、一見実体があるように見える! 40……20……もっと近づいて!

     表面は繊維状の物が規則的に織られたような見た目だ! もう少し近づけないか!

     表面サンプルを取ることはできるか! ……ああ、頼む! そうだ、ゆっくり、ゆっくり!

     おわっ、この揺れは一体!? 物体に引き込まれてるのか!? クソッ、何なん……」


信者「……夢を見た。 とても曖昧で、とても明確な夢だ。 断片的なイメージしか残ってはいないけど

   今自分がやらなければいけないことはちゃんと伝わった。 ソックのために。

   いや、我々人類のために……」

 

・記者会見

 

レポ「先日の調査結果に関して、どうも要領を得ない解答ばかりですが

   詳しく話していただけないのでしょうか!」

 

ジョシュ「えー、先ほども申した通り、オーストラリア、エアーズロック上空に出現した謎の物体を

     様々な方法で調査した結果……存在はするが、実体はないという調査結果になりました……。

     科学的な調査では存在を確認できたものの、どのような手段をもってしてもあの物体に

     触れることは出来ず……」

 


ジョン「エアーズロックとソックが入るように……。 よし、上手く撮れたな」

 

ポール「どうしたんだ、ジョン? 今更、ソックの写真なんかとって」

 

ジョン「ああ、いや、ウチの娘が近くで撮った写真を欲しがっててな」

 

ポール「クリスマスプレゼント代わりか?」

 

ジョン「これで済んだらいいんだがな。どうせ、ぬいぐるみやらなんやらをあげなきゃならなくなる」

 

ポール「そう言って、あげた時の笑顔が楽しみなんだろ? この親バカめ」

 

ジョン「親なんて全員そんなもんさ。お前も子供を持ったら……おっと民間人だ。

    ああ、すいません、ここから先は警戒区域で一般の方をお通しすることは出来ないんですよ。

    ええ、ええ、すいませんね。 よい観光を」

 


レポ「皆様、見てください。 エアーズロック周辺に張り巡らされた警戒線を。

   先の研究結果の影響を受けて、オーストラリア軍による警戒網が

   エアーズロック周辺に張り巡らされています」

 


ポール「……おい、ぼーっとソックを見てどうしたんだ?」

 

ジョン「ああ、いや、少し考え事をな」

 

ポール「あれに使われてる糸はカシミヤか、ウールか、か?」

 

ジョン「そんなことじゃないさ。 まあ、ソックに関しては当たってるが」

 

ポール「じゃあ、何だよ?」

 

ジョン「誰が何のためにあんなものを、ここに置いたんだろう、ってな」

 

ポール「それを考えるのは俺たちの仕事じゃない。 学者さんたちの仕事さ。

    何より隣にいる奴の考えも分からないのに、あんな訳分からんものを置いた奴の考えなんて

    分かるわけないだろ?」

 

ジョン「それもそう、か……。 というか、長年の付き合いなんだから俺の考え位は少しは分かれっての」

 

ポール「仕方ないな。 じゃあ、特別に俺のスペシャルパワーを使って……ムムム……。

    お前は今すぐ……家に帰って……B級映画でも見ながら……ピザを食べたい……横にはペプシ……」

 

ジョン「……それはお前の考えだろ」

 

ポール「あら、バレたか。 流石、ジョン! 嫁さんを落とす時もそうやって心を読んだのか?」

 

ジョン「まったく……。 おっと、噂の学者さん達のお通りだ。 すみませんが、許可証を。

    ……確認しました。 どうぞお通りを。 お気をつけて。」

 


ジョシュ「2016年12月10日、謎の物体に関する個人ログ、ジョシュア・ウィリアムズ、録音開始。

     今日からアレの調査はここエアーズロック脇に建てられたこの建物で行うことになった。

     ……未だにアレをすり抜けた時の感覚が身体に残ってる。

     ヘリ内部にいた全員、精密検査をしたが、どこにも異常はなかった。

     どこにも異常はない……はずなんだ。 だが、どうも嫌な感覚が身体から離れない。

     記録では一瞬ですり抜けた事になっているようだが、物体内部に長時間いたような

     そんな感覚が残っている。 ただの気のせいだといいのだが……。

     これから、それについても研究を進めていこうと思う。 録音終了」

 


レポ「……早く来て! 見つからなければ大丈夫よ! スクープが欲しくないの!?

   ……よしよし。 ……これより警備網を越えて、謎の物体に接近します。

   一体、警備網の内側で何が行われているのでしょうか。 今からそれを解明したいと思います。

   ……ここで一度ソックを撮って。 見えますでしょうか。

   軍のライトにより照らされた物体が怪しく輝いています。 まるで我々に何かを示すように……」

 

ポール「おい、誰かそこにいるのか!?」

 

レポ「まずい、早く逃げるわよ、早く!」

 


信者「ソックは神が我らに与えし試練! 選別のための啓示! 来る25日、黙示録がやってくる!

   ソックこそ愚かな人々を罰し、次なる世界へ選ばれし者を運ぶ箱舟なり! 皆の者、感じよ!

   ソックの鼓動を、ソックからの波動を! ソックこそ我々の救い! ソックこそ……」


 

現地「ああ……あいつか。最近ずっとあんな調子で街中で叫んででやかましいったらありゃしない。

   前まではあんなやつじゃなかったんだけどな……。 奴が言うには12月25日に何か起こるんだとよ。

   まあ、ソックの見た目が見た目だから、そう思うのも分からなくもないけどよ。

   まあ、実際、世間様じゃ奴の話を抜きにして、25日にソックに何かが起こるって話題で持ちきりだ。

   そのせいかここ一週間観光客が多くてな。 ガイドも商人達もてんてこまいだ。

   ま、嬉しい悲鳴ってやつだろうけどな」

 


ジョシュ「2016年12月19日、謎の物体に関する個人ログ、ジョシュア・ウィリアムズ、録音開始。

     ……アレの調査を皆で続けているが、一向に進展はない。 私の感覚についても、同じだ。

     チーム全員頑張ってくれている。 それは間違いない事実だ。

     だが、如何せん、現存の機器と調査時間ではこれ以上詳しくアレを調べる事が出来ない。

     それは……認めざるを得ない事実だ。 ……世間では25日、アレに何か変化が起こると

     噂されているらしい。 その噂を受けて、当日、何機か軍のヘリをアレの周囲で飛ばすらしい。

     もちろん私もその内の一つに乗るつもりだ。

     恐らく、次のログはその時のことを記録したものになるだろう。 録音終了」


レポ「皆様、ご覧ください! この人々の数! 12月25日にあの物体に何かが起こるという噂を聞き

   駆け付けた観光客が所狭しと並んでおります! 只今の時刻は23時30分、25日まであと30分です!

   果たして、あの物体に何か起きるのでしょうか! それでは引き続き、生中継でお伝えしたいと思います!」

 

 

ポール「はあ、なんでこんなめでたい日にイベントの警備みたいなことしなきゃ……。

    はい、そこあまり近付き過ぎないでー!」

 

ジョン「そう文句を言うな。 これも立派な仕事だ。 もし何かあってからじゃ遅いだろ?

    それにここはソックを見れる最前列の特等席だぞ?」

 

ポール「たくっ、もう散々見たっつうの……」

 

ジョン「この騒ぎも今日を過ぎればある程度収まる。 そうすれば、いつもの仕事に戻れるさ」

 

ポール「そうだといいんだがね……。 お前だって今日は家族と一緒に過ごしたかっただろ?」

 

ジョン「こればかりは仕方ないさ。 散々、娘にはごねられたけどな」

 

ポール「家族を持つってのも大変だな。

    まったく、ソック様はこんなときも下々の気持ちを余所に、悠長に浮いてて気楽なもんだ」

 

ジョン「ハハッ……」

 

ジェシー「パパー!」

 

ジョン「ジェシー! なんでここに!?」

 

ジェシー「ママにね、連れてきてもらったの!」

 

ジョン「ああ、済まない、ジェシー……。 パパは今仕事中で……。」

 

ポール「あー……今俺は何か異常がないか監視しなきゃならなくて忙しいなあ!

    隣の奴が何してるか見てる余裕なんか無いなあ!」

 

ジョン「……ありがとう、ポール」

 

ポール「後で何かおごれよ?」

 

ジョン「ジェシー、ママはどこに?」

 

ジェシー「えっとね……あそこ!」

 

ジョン「マリア―! ここは人が多すぎる! 少し離れた方がいい!」

 

ジェシー「ねえ、パパ……ここで見てちゃダメ……?」

 

ジョン「ああ、ジェシー……流石にここは危険だ。 さ、早くママのところに戻って」

 

ジェシー「えー……」

 

ジョン「いい子にしてないと、サンタさんからのプレゼントが貰えないぞ? ジェシー、いい子に出来るな?」

 

ジェシー「……うん、いい子にしてる」

 

ジョン「いい子だ」

 

ジェシー「ママ―!(走っていく声)」

 

ジョン「フフ……」

 

ポール「……家族ってのもいいものかもしれねぇな」

 

ジョン「お前もやっと気付いたか?」

 


ジョシュ「2016年12月24日、謎の物体に関する個人ログ、ジョシュア・ウィリアムズ、録音開始!

     私は再び軍のヘリの中にいる! 物体との距離は約100m!

     肉眼で確認する限り、物体に目立った変化は見られない!

     ヘリは日付を跨いで、一時間ほど物体の周囲を飛行する予定!

     何か変化がみられるまで、いったん録音を切る! 録音終了!」

 


レポ「25日まで後10分を切りました! 人々の期待、そして、熱気が高まっていくのが感じ取れます!」

 

信者「今こそ選別の時だ! これを見ている貴様たちも例外ではないぞ!」

 

レポ「うわ、いきなり何ですか! 早くこの人をカメラから離して!」

 

信者「クソッ、離せ! こんなことをしても無駄だぞ! 私は宣告者でしかない!

   選別を逃れることはできないぞ! これは画面の向こうの世界ではない! 貴様らの世界の出来事だ!

   貴様らは第三者ではない、当事者だ! 貴様らでも、すぐにこの言葉の意味が分かる!

   ハハハ、ハハハハハ……!」


レポ「……えー、多少のハプニングがありましたがまもなく25日です!

   5、4、3、2、1、……12月25日になりました! 果たして、一体何が起きるのでしょうか!

   ……何も、起きな……いえ、違います! 物体の……上部から……何か出てきています!

   ……あれは一体……?」

 


ジョシュ「……録れてる、録れてるか! 物体の上部から謎の物体が出てきた! 色は黒!

     まるで、芋虫のようにぜんどうしている! ……あれは……生き物なのか……?

     もうすこしヘリを近付けてくれ!  サーマルスコープは、どこかにあるか!?

     ……ああ、ありがとう! 未だ出てきた物体はうごめている!

     物体の温度は……低すぎて正確な数値が計れない! この温度……本当に生き物なのか……?

     !? 今、一際大きく動いた! ……天へ向けて大きく伸びていっている!

     ……止まった……? 一体何が」

 


現地「ヘリが落とされたぞ!」

 

レポ「出てきた物体が軍のヘリを落としました! あれは……手でしょうか……。

   なおも、物体から出続けて……」

 


ポール「おいおい、マジかよ……。 へリを叩き落としやがったぞ……ッ!」

 

ジョン「クソッ、無線が使えない! どういうことだよ!

    ……おい、ポール、ぼーっとしてないで、俺達だけでも市民の避難誘導を!」

 

ポール「あ……ああ!」

 

ジョン「俺はこっちに向かう。 お前はあっちを頼む! 落ち着いたら基地で落ち合おう!」

 

ポール「ああ! 何が起こるか分からねえ! 気を付けろよ!」

 

ジョン「お前もな!」

 


レポ「皆様、見えますでしょうか! 突如、現れた手のようなものは、その身体を大きく振り

   周囲のヘリを落とそうとしています! ヘリも交戦していますが、効果があるようには見えません!」

 

ジョン「お前たち、何をしている! ここは危険だ! 早く逃げろ!」

 

レポ「見てください! 二機目! 二機目のヘリが攻撃を受けました! ヘリはそのまま落下していきます!」

 

ジョン「!? あっちにはポールが!」

 

レポ「ああ、地面にヘリが激突しました! !? そして、爆発です、大きな爆発が起きました!」

 

ジョン「……嘘だろ……。 クソ、無事でいてくれよ……!」

 

レポ「今この場は、先ほどとは打って変わって、怒号と悲鳴が飛び交っております!

   まるで、地獄の門が開かれたような惨状です! 私達もそろそろ……!

   またヘリが……!? ヘリがこっちに……!!」

 


ジョン「クソ、クソ、一体どうなってるんだ! どういうことだよ!

    う……酷い有様だ……。 ポール、ポール! どこだ! いるなら返事してくれ!」

 

ジェシ「(泣き声)」

 

ジョン「泣き声……? 誰かいるのか!? いるなら返事してくれ!」

 

ジェシ「パ……パパー!」

 

ジョン「ジェシー、なんでこんなとこに!? 怪我は無いか? ……ママはどうした!?」

 

ジェシ「ポールおじちゃんとママが会って……二人が話してたら大きな音がして

    ……ママとおじちゃんがいたところが燃えてて……」

 

ジョン「そんな……。 クソッ、クソッ、クソッ!! マリア……ポール……!」

 

ジェシ「パパ……アレなに……?」

 

ジョン「なんだ、アレは……。 アレはまるで……」

 


現地「おい、へたりこんでねぇで立ち上がれ! 早く逃げるぞ!」

 

信者「フフ……私の言ってることは間違ってなかった……!

   ソックは箱舟ではなく、ノアだったが、この際そんな細かいことは関係ない!

   今日という日は、明確な選別者がこの世界に顕現した記念すべき日だ!」

 

現地「何言ってるんだよ! ……オーストラリア空軍! ……おいおい、ミサイルすら効かないのかよ!」

 

信者「この世界の兵器が超越者に効くわけないだろう、ハハハハ!」

 

現地「とにかく、逃げるしかないってことかよ…! おい、いい加減ふぬけてねぇで……!」

 

信者「ああ、今こそ選別の時だ! ノアよ、愚かな人々を世界から振り落すのだ! ハハハハハ……!」

 


壊れたテレビから流れる音声

 

レポ「オースト……よりしゅつげ……ぶった……海をわた……せ

   ……70パーセ……このまま……じんる……つぼう……」

 

End

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